FOODTOWNアドバイザー

解凍装置徹底解説!

解凍装置とは?

冷凍食品を解凍する方法を大きく分けると、急速解凍と緩慢解凍があります。
急速解凍とは、熱を加えて迅速に解凍させる方法です。
緩慢解凍とは、常温解凍、低温解凍、流水解凍など時間をかけて解凍する方法のことです。

急速解凍と緩慢解凍のどちらが優れているというわけでなく、食品の種類や用途によって、適切な解凍方法がありますので食材に合わせて解凍方法及び装置を選択します。食品工場では原料が冷凍された状態で納品されることも多くあります。
解凍装置を使うことにより、原料からのドリップ(原料の液汁)の流出を抑制することができ製品の物性にも影響します。

解凍装置の種類、選定ポイント、トラブル事例について解説します。

  • 解凍装置の種類、原理、使用用途について

    急速解凍
    ・高周波解凍とは1〜300MHzという高域な周波数の電磁波を用いて冷凍品を解凍する機械です。
    高周波解凍機のメリットとして取扱い品の厚みや断面のサイズ、形状などに左右されることなく短時間でムラのない解凍が可能です。
    また、取扱い品の内部から熱を伝えるため表面が溶けることなく、解凍後も食品の旨みや鮮度を損なわない点などが挙げられます。
    高周波解凍に適した食材
    肉類(牛、豚、鳥)・魚介類・惣菜・弁当類・菓子類

    ・マイクロ波解凍とは、高周波の中でも周波数が高い300MHz~300GHzの電磁波のマイクロ波を用いて冷凍食品を解凍する方法です。
    電子レンジは英語でmicrowave(=マイクロ波)と呼ばれている通り、マイクロ波解凍は電子レンジと同じ要領です。
    マイクロ波の照射によって、食品内部の水分子を振動させることで加熱・解凍します。
    一般的に、周波数の低い方が物質の奥深くまで電磁波が振動するため、マイクロ波より高周波の方が食品の解凍には適していると言えます。
    マイクロ波解凍に適した食材
    肉類(牛、豚、鳥)・魚介類・惣菜・弁当類・菓子類

    ・低温高湿度解凍機とは低温で湿度の高い水蒸気を利用して解凍させます。
    潜熱という、固体から液体、液体から気体など、物質が変化するときに必要な熱エネルギーを使い加熱しています。
    相対湿度100%の水蒸気が水に変わる潜熱は、氷から水に変わる潜熱よりも大きいので、効率よく素早い解凍ができます。
    庫内に水蒸気を送る際に、水蒸気の温度を30℃~40℃にコントロールすることが可能です。
    解凍温度を低く設定することができるので、安定した品質で解凍することができます。
    低温高湿度解凍機に適した食材
    肉類・魚介類・おにぎりなどの弁当類・ケーキ・菓子類

    緩慢解凍
    ・流水解凍とはシンクなどに水を張って、そこに冷凍品を浸して水を流しながら解凍する方法を流水解凍と呼びます。
    氷点下まで凍結された冷凍品と流水との温度差を利用した解凍方法で、食品の種類やサイズによるものの比較的スピーディに
    食品を解凍できる点が大きな強みです。
    一方で、水に触れても良い食品であることが大前提の条件であり、他の解凍方法と比較するとドリップの発生量が多いため、
    旨みや風味を損なうリスクが高い点がデメリットと言えます。
    流水解凍に適した食材
    真空パックされた食材・水に触れても問題のない食材・味付けや下茹でが済んでいる食材

  • 解凍装置導入価格について

    解凍装置のサイズによっては約200万円程度からありますが、食品工場で使用される仕様になると約1000~3000万円程度が多くなります。解凍する製品によって急速解凍、緩慢解凍の適する解凍方法が異なります。製品の物性に影響する装置となるため、導入前のテストが非常に重要になります。
    上記価格は本体のみの参考価格で、装置運搬費用や設置工事費用は別途必要となります。

  • 解凍装置の選定ポイント、導入時の確認ポイント

    ・解凍したい食材によるメリット・デメリットがありますので、その食材に合わせた解凍装置を選定する必要があります。
    その次に重要なのが解凍したい食材の量に関しても1回で解凍できる量が装置により異なるので、その点も重要な要素になります。
    そして、設備機器に関しての導入コスト、及びランニングコストに関しても装置により高額になるのでリースを利用したり、
    補助金を利用できるケースもありますのでものづくり補助金総合サイトをご確認ください。

  • 解凍装置導入後のトラブル事例、事前対策ポイント

    トラブル事例
    生産計画に対し、進捗が遅れていたため解凍装置の出力を上げて対応したが、ドリップや解凍ムラが発生し製品の出来栄えに影響が出た。

    原因①
    原料のロットによる凍結状態のバラツキが大きく、解凍装置の調整内容基準が決められていなかった。
    原因②
    生産が遅れている挽回策として取った手段が製品の出来栄えに影響する方法であり、管理者の教育が行き届いていなかった。

    対策①
    原料のバラツキ、輸送状態、荷受後の管理状態のいずれかに凍結状態がばらつく原因がないかを特定する
    解凍装置の回答出力で調整しないようルール化する。
    対策②
    各装置の調整可能範囲の明確化と生産管理を行う人員には調整箇所の教育を行って従事させる。

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  • 食品加工・製造
  • 解凍装置

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