FOODTOWNアドバイザー

ベアリング徹底解説!

ベアリングとは?

ベアリングとは、回転するものの軸を支える機械部品の総称で、「軸受 じくうけ」とも呼ばれます。
回転するものとは、具体的には車輪、歯車、タービン、ローターなどのことを指し、ベアリングは製品内で回転する軸部分でこれらの動きを支える働きをしているものです。
ベアリングは食品製造工場でも数多くの装置内に使われており、装置の回転部分にはほとんどの場合使用されているような部品です。
ベアリングの種類、選定ポイント、トラブル事例について解説します。

  • ベアリングの種類、原理、使用用途について

    ・ベアリングの種類
    ベアリングは主に「すべり軸受」と「ころがり軸受」の2種類に分類することができます。

    すべり軸受について
    すべり軸受の機能には、軸と軸受の間に薄い膜を作り、潤滑油などを入れて滑らせながら回転させるという特徴があります。
    これにより、軸と軸受を広い面で接触させることが可能となるため、大きな荷重にも耐えられるようになります。

    ころがり軸受について
    軸受の内輪と外輪の間に転動体(玉やころ)を入れて回転させるという特徴があり、これによりすべり軸受より軽快に回転するというメリットもあります。

    ・ベアリングの原理
    回転をなめらかにするために「摩擦を減らす必要がある」
    車輪や歯車などの部品が自由に回転をしたときに、回転軸を正しい位置に保持することと、
    ものを動かすときに発生する摩擦を軽減することです。特に摩擦が大きいと動力損失が増すだけでなく、温度上昇によって障害が生じることもあるため、それらを防ぐという意味でもベアリングの高い技術が担っている役割は非常に大きいことが分かります。

    ・ベアリングの使用用途
    自動車の場合
    エンジン、コンプレッサ、油圧装置などさまざまな箇所でベアリングが使用されており、その数は100以上にも上ります。
    また、その種類も多岐にわたっており、深溝玉軸受、スラスト玉軸受、円筒ころ軸受、円すいころ軸受などが使用されています。

    風力発電機の場合
    ブレードに受けた風による荷重を受け止め、主軸を支える重要な部位には特に高い耐久性が求められるため、深溝玉軸受、
    アンギュラ玉軸受、円筒ころ軸受、針状ころ軸受などのベアリングを採用しています。

    その他にもベアリングは複写機や印刷機をはじめとした事務用品、冷蔵庫や洗濯機をはじめとした家電製品にも付き、幅広く使用されています。

  • ベアリング価格について

    ベアリング価格はサイズや仕様によって異なります。
    ベアリングは汎用部品として数百円~1万円以上するものもあります。
    ベアリング破損時に交換時間として生産ラインを止め、ロスが発生することを考慮して稼働時間で定期交換とする管理方法をとる製造工場は多くあります。

  • ベアリングの選定ポイント、導入時の確認ポイントについて

    1. ボールベアリングの種類を確認する。
    主なボールベアリングの種類には「鋼板シールド形」「オープン形」「接触ゴムシール形(主に赤色)」「非接触ゴムシール形(黒色)」があります。
    特徴から種類を見分ける方法は、次の通りです。
    両側鋼板シールド形:両側とも鋼板(材質)でシールド(塞がれて)されている。
    片側シールド形:片側が鋼板シールされており、もう片側は保持器が見えている。
    オープン形・開放形:両側とも保持器が見えている。
    両側接触ゴムシール形・両側非接触ゴムシール形:両側とも外輪・内輪とは異なる色でシールされている。
    これらの特徴をチェックしながら、ボールベアリングの種類を確認しましょう。

    2.品番を確認
    シール部分(鋼板シールド形の場合)や外輪(オープン形の場合)の4桁番号+アルファベットを確認することにより品番特定が可能です。
    (両側シールド形、両側ゴムシール形の場合は、片側ずつに6204Z、6204LUなどが刻印されています)

    3.品番が確認できない場合は寸法で確認
    ベアリングはJISの規格によってサイズが決まっています。そのため、mm単位の数字が分かれば品番の選定が可能です。
    外側の円の直径、内側の穴の直径をノギスで確認しましょう。

    導入時の確認ポイント
    ・抵抗が少ないこと
    ・強度が十分であること
    ・発熱・摩耗が少ないこと
    ・回転振れが小さいこと
    ・給脂・給油しやすいこと(給脂・給油する構造をとる場合)
    ・ゴミ・異物が入りにくいこと
    ・腐食しないこと
    上記項目を参考に選定してください。

  • ベアリングに関するトラブル事例、事前対策ポイントについて

    トラブル事例
    機械装置メンテナンスのためにベアリングに給油を行ったが、製品ライン上であったため生産途中に油が滴下した製品が発見された。

    原因①
    計画的にメンテナンスを行っていたが、給油するオイル選定を間違って給油した。
    原因②
    給油した後に試運転を行って、ベアリングからの給油後のオイル垂れなどがないか確認していない。

    対策①
    製品が通るライン上である場合、給油レスタイプのベアリングを選定する。
    対策②
    製品経路上で給油をする場合には粘度の高いグリスを少量、且つ高頻度で給油する。
    対策③
    給油した後には一定時間試運転を行、オイル垂れ、染み出しがないか確認する。

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